第1回沙翁寄席

シェイクスピアを落語風に、しかも、原文も交えながら語ろうという沙翁寄席の記念すべき第一回の高座が12月23日∴ん窯やきもの山房で行われた。

これは茶の間で、沙翁の原文の響きを味わいつつ、シェイクスピア作品を気楽に楽しんでしまおうという贅沢な企画である。美味しいケーキと珈琲も出る。演者は群読集団 冬泉響の三宮 薫。第一回の演目は『間違いつづき』The Comedy of Errorsである。

これは喜劇というより笑劇なので落語風に演じるにはぴったりの作品であり、シェイクスピアにまったく馴染みのなかった団員も楽しめたようだ。

今回は初回ということもあって冬泉響の料理職人妓娃尼が腕を揮ってラズベリーケーキを作ってくれたので楽しいうえに美味しい寄席となった!


もったいなかったのは一般のお客さんが取材に来た新聞記者を含めたった二人という点である。せっかくの試みである。もう少し告知を徹底しなければと思う。

by goro

シェイクスピア朗読ワークショップ第6回(最終回)

いよいよ、今日は最終回です。

始まる前に、今日はいつも通りの教室の机を立てて並べて、舞台を用意しました。この中央で、今日、ひとりひとり、最後の成果発表を行います。


 
まずはいつも通り、準備運動から。ラジオ体操、首の運動、揃い踏みを行います。今日は発表会でしっかりとした声を出さなければなりませんので、久しぶりに、呼吸の練習も行いましょう。本来なら毎回行いたいところでしたが、今回のワークショップでは、初回以来やっていませんでした。腹式呼吸の練習です。10秒間まずはお腹にしっかりと息を入れます。そして一気に吐く。何度か繰り返したら、今度は声を出します。なるべく長く声を出し続けていられるように。そのために沢山息を吸って、止めて、声を出す。長く続けるのはなかなか大変です。


さて、発表は最後に行いますので、それまで各自、直前の個人練習を行います。

みなさん、発表直前で緊張した面持ち。最後の確認を必死で行っています。今日の教室には、舞台直前の楽屋裏の緊張感とざわめきがあります。

ある人は部屋の窓に映る自分の姿を見つめながら、ある人は舞台の中央を歩き回りながら、ある人はソファに座って、それぞれに自分の台詞を繰り返し練習しています。先生も参加者のみなさんの間を歩きながら台詞を練習しています。そして、時々、気づいたことをひとりひとりに指摘していきます。

誰かがfleshをfreshと間違えて言っています。rに聞こえないように注意して。

「"Whether 'tis nobler in the mind to suffer" は、in the mind とsufferの間は区切るべきでしょうか。」いえ、基本的には、行の終わりで区切るようにします。

Aさん、声も姿も決然としている感じが良いです。シェイクスピア役者のように喋れています。でも、No moreはあまり元気過ぎないように。静かに。and by a sleep to say we end/The heart-ache and the thousand natural shocksはもう少し楽しそうな感じを出してもよいです。

Sさん、プラス3度、視線の角度をあげるように心がけてみましょう。そうすると、観客が抱く印象が全く違ってくる。見た目が違うと、観客にももっと台詞が響くような効果が生まれます。ある種のラッピング効果です。見映えを良くすることは大切なことです。


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くじで順番を決めて、いよいよ、最後の発表会です。

観客がいないと舞台は成り立ちません。観客が舞台をつくってくれます。発表者以外の人たちが観客となります。また、今日は幸いなことに、見学者が2名いらしてくださったので、いつもの練習とは違ったあたらしい観客もいます。

「本日は、シェイクスピア朗読教室の成果発表会にお越しいただきまして、ありがとうございます」


それぞれ緊張した面持ちで、舞台に中央にひとり立ちます。いつもより観客が多い分、はじまりの沈黙と緊張感は増幅します。まっすぐに前を見て、あるいは少し斜めに構えて、あるいは時々角度を変えながら、必死に台詞を読み進めていきます。舞台にたったひとりの声が響いています。明るく灯る小さな教室が不思議に広がるのを感じます。400年以上前のシェイクスピアが描いたハムレットの夜の深みをひめて。




発表のあとは、みんなで飲み物を飲んだりお菓子を食べたりしながら、最後の懇談会と発表会の反省を行いました。

Sさん、演出が少し足りませんでした。6回でハムレットのこの独白を読もうというのは、たしかに難しいことです。大変なことにみなさん挑戦しました。でも、今回でコツは分かったと思うので、気を良くして、これからも誰かに「聞いて!」と、短くてもいいから聞いてもらうとよいでしょう。

覚えていた方がよかったでしょうか、とSさん。今回は最後の発表まで練習時間があまりありませんでしたので、台本を持ったまま読みました。ハムレットの台詞は似たような言葉が出てくるので、覚えるのは難しいです。覚えるためには、自分用の台本をつくって、ブックマークをつけるなど、工夫することも大切になるでしょう。指揮者はオーケストラの楽譜をすべて覚えていますが、ページの折れた部分などで思い出すとか。

Mさん。はじめはとても良かった。ジョン・ギルグッド風でした。残念ながら、途中で少し台詞を飛ばしてしまいました。練習で出来ていたとしても、舞台に立つと真っ白になって台詞が飛んでしまうということはよくあります。練習の5%くらいしかできない、と思っておいた方がよいです。でも、ハムレットのメランコリーが伝わる発表だった、とSさん。ステージの力がよく働いていました。

Aさんは、言い直しをしてしまったところがありました。これはMさんと同じです。めりはりも、もう少しあるとよかった。でも、全体的にはとても良かったです。リズムをもう少し考えるともっと良くなります。どこでポーズと取るかなどを考えることも必要です。弱強五歩格は行の終わりで区切れます。その区切れは意味の区切れではありません。でも、所々、意味の区切れの方が勝つところもあります。たとえば、To die, to sleep/No moreで切りたい。そして次は一気に読みたい。それはその人のartisticな感性によります。聞いていて落ち着くような意味の区切れを大切にしながらも、音楽的にどうするか。そのバランスを取るのが役者の仕事です。


今日の発表が、みなさん一番良かったです。みなさんが練習を重ねてきたことによって、今日はしっかりとステージの力が働いていました。舞台は、人間を人間以上にしてくれる場です。現実のサイズより大きくしてくれる。そこで役者は実物以上に輝きます。だから役者はやめられません。この教室が終わってからも、各自練習をして、ただ読むだけではなく、誰かに聞いてもらうことで舞台をつくって朗読してみるとよいと思います。


本当に楽しい時間を過ごさせてもらった、とMさん。懇談会の途中で、ハムレットの台詞は途中で忘れてしまったが、若い時に覚えたマクベスの独白ならできる、と再び舞台へ。"Out, out, brief candle!....."

最初に申し込むときにはとても不安だったけれど、思い切って参加してよかった。あと30年早く先生にお会いしたかった、とSさん。隣でうなずくAさんも、第一回のときには、見学だけにしたい、二回目からは参加しないかもしれない、と言っていましたが、いつの間にか、このシェイクスピア朗読教室の先陣を切って活躍していました。「先生、寂しいわ、またやっていただけないの」。

今回は途中までしか出来なかったハムレットの独白、最後まで練習してみてください。最後までできるようになったら、またきかせてください。


by 薫

シェイクスピア朗読ワークショップ第5回


準備運動をして、今日はまずは座禅。そしてゆっくり呼吸しながら気を整えます。息を3秒間吸って、6秒吐く。あるいは、4秒吸って8秒吐く、の繰り返しです。眼は閉じないで。まっすぐ前を向いて。頭の中には色々な考えが浮かんできますが、そのまま放っておけばよいです。大切なのは、胸の前の空気をひろく持つこと。宇宙を感じるように。この胸のまえの空気は、役者が舞台に立ったときに大切なものです。

さて、今日はいよいよ最後の発表会に向けて、毎回少しずつ練習してきたハムレットの3幕1場の独白の練習をしっかり行います。今日はとにかく、ひたすら個々に稽古をしましょう。間違わないで読み切るようになることがまずは大切です。ハムレット役者はあの長い台詞を間違えません。『ハムレット』3900行中、2000行くらいがハムレットの台詞であるのもかかわらずです。


個人練習しているところを先生が廻って、細かい発音等の指導をしていきます。


    To be, or not to be, that is the question:


慌てずに、tの音もきちんと出して。Mさんは、割といつも急ぎがちです。落ち着いて。"is the"の zからthをしっかりと、きれいに出すよう心がけて。

英語は日本語よりも子音がはっきりしています。ドイツ語系、ゲルマン系は、フランス語などに比べると、音がごつごつしている。それをはっきり読むと美しくなります。日本人がきれいに読もうとすると、どちらかというとフランス語のようにやわらかく読んでしまう。でもここにあるのは、子音が強い言語の美しさです。


    Or to take arms against a sea of troubles,
    And by opposing end them.


to take のtやopposing のpの音は、あり得ないくらい強く言う。子音を強く言ってもおかしくありません。opposing end themのopposingの後は、しっかり切ること。リンキングが起こらないように。母音ではじまる単語は気をつけないと難しいです。


    To die, to sleep--


dieの破裂音。ぽんと出せるように。sleepのsは伸ばせる音です。そこで躊躇する。sを伸ばせば伸ばすほど、ハムレットが迷っている感じが出ます。


    The heart-ache and the thousand natural shocks
    That flesh is heir to


naturalは、ほとんど一音で出すように。舌は動いているけれど、一音のつもりで。口の中でつむじ風が起こるような感じ。fleshのlの音、流れないように。rの音になってしまうと、意味が変わってしまいますから、気をつけて。


    'tis a consummation
    Devoutly to be wish'd


tis のzは有声音です。tis aのaへのリンキングでばれてしまいます。consummationのnの音をしっかりと。
devoutlyのtlの音を妥協しないでがんばりましょう。妥協せずに練習してゆくと、英語の舌になっていきます。日常会話ではスピードがありますからそうはいきませんが、台詞のように決まったものは、ゆっくりと練習できます。tly がtreeにならないように。lは両側音。lyは「イ」というよりは「エ」に近い。以前も言いましたが、tとlは同じPOAです。tと行ったその舌でlを発します。省エネです。tからlへの政権交代をすばやく、軽やかに。でも、きちんと後継者を育ててからでないと交代はいけません。

そしてvの音は激情の音です。vではじまる単語にはどんなものがあるでしょうか。victory、vivid、 vigor、 virture、 vice、 voice。 強い意味の言葉が多いです。vには訴えかける力があります。だからといって、vも力んで、tlも力んで、と何カ所も力を入れてはいけません。tlは軽やかに。あまり力むとくさくなります。


    To sleep, perchance to dream--ay, there’s the rub,

perchance to dreamは素早く。


    For in that sleep of death what dreams may come,
    When we have shuffled off this mortal coil,
    Must give us pause;


ここで意味について少し質問がありました。shuffledは蛇が皮を脱ぐこと。mortalである人間は、いずれ死ななければならない皮を持っている。その皮を脱いで死の瞬間へ入っていく。その時に一体どんな夢を見るのか、と言っているところです。夢は当時、今よりももっと意味のあるものでした。


mortalのtalはtlのように発音してしまいましょう。pauseは日本人の苦手な発音です。caughtとcoat、boughtとboatの違いが日本人には難しい。かなり英語が上手な方でも、caughtと発音しようとして、「ウ」の音になってしまっている。口を開け続けることが大切です。そして「ウ」の音にならないうちに、tを入れる。zは口を閉じないといけませんから、限りなく「ウ」に近くなるときに、すっと閉じる。「オ」の音が生きているうちに、慌てて閉じてしまってはだめです。


しばらく練習をしてから、今日のまとめとして最後に、一人ずつ今日の段階での中間発表を座ったままで行いました。


Mさんは、よく覚えていてすばらしいです。しかし細かいところが飛んでしまっている。aやtheの一言一句の改変も舞台の台詞ではゆるされません。


Sさん、語頭はがんばっているのですが、語尾がぬけている。end themのmなど。それから、どこへ向かっているかを聴衆に分からせることも大切です。音楽と同じです。アンセルメという指揮者は、「音楽は五の和音へと向かう弾道だ」と言っています。五の和音まで行けば、あとは一の和音に自然と戻る。だから、五に向かっているんだということを聴衆に分からせないといけない。どこがクライマックスなのかを考える必要があります。そして、一番いいところはさらりとやる。その前をクライマックスにします。そのときに、英語の理解力が大事になってきます。Sさんはクライマックスがありませんでした。役者はそれを本能的に、あるいは練習を重ねることでわかっている。それを演奏することがperformすることです。発音の練習には知性は必要ありませんが、台詞を理解するうえでは必要になってきます。


Aさんは、どこに向かっているのか、をもう少し厳密にやった方がよいでしょう。No moreはもう少し安心した感じがよい。そこを、ハイル、ヒットラー!という感じにNo more!と強く読んでしまいました。To sleep perchance to dreamでは、もう少し攻めた方がよい。でも、全体的に元気もよいですし、そのやり方でよいと思います。あとは、どこを抜くかを考えてみる。でも、力を抜きすぎて、だれてしまってはいけません。


Kさんは、言い直しに気をつけましょう。計画を立てることが大切です。間を取ってはいけないところで間を取っている。To die, to sleepは考えているから間を取ってもよい。けれど、To sleep perchance to dreamはもう考えていないから、間を取ってはいけない。台詞の読み方の計画をし直す必要があります。


Sさんは、もう少し英語の基本のリズムに気をつけてみましょう。a seaやa sleepなど、間を止め過ぎです。そんなに止めない。英語の基本のリズムは壊さないように練習してみるとよいでしょう。
 

そうです、発音はそんなに簡単なことではありません。簡単であれば、ワークショップをする必要もありません。他にもリズムの原型が日本語的になりがちな人がいます。みなさんも聞いていて分かると思いますが、人のことはよく分かります。ですから、自分の発音をテープ等に録音して聞いてみるとよいでしょう。はじめはとてもショックです。でもそれを通過しないといけません。発音すべきではない音を行っていたり、あるはずの音を言っていないことに気づくはずです。そして今の段階で大事なのは、よい発音を聴くことです。そしてそれを真似することです。人によって、役者によって、発音や読み方は違います。オリビエのハムレットはゆっくりです。ケネス・ブラナーはもっと速い。それは時代を反映しているのかもしれません。you tubeなどでも視聴できます。

そしてまずは、失敗しない、音を飛ばさない、慌てない、など、negative procedureからはじめます。そこからはじめないと完成しません。

それから、どこをどう読もうか計画します。たとえば、最初は、しずかな沼のように。No more, and by a sleep to say we end..... thousand natural shocksなどはやわらかい音が続き、そういう風が吹いている感じです。しかしその後、To sleep perchance to dreamの辺りから、波風が立つ。ay there's the rub, deathなどこすれる音が、ダダダダと続いて行きます。
計画、演出が必要になります。そうすると、短い台詞であっても、ひとつの名場面になります。プロの演戯を観ることも参考になります。


来週は、いよいよ発表会です。

by 薫

シェイクスピア朗読ワークショップ第4回


今日ははじめに準備運動と「揃い踏み」のあと、初回に少しやったリズムまわしをやりました。

まずは全員で円になって、"one" "two" "three"と数を順番に数え、自分が声を出すときに手もはたきます。数を読む声と、拍手の音が順番にまわっていきます。これはそれほどむずかしくありません。まだ準備の段階です。さて、次は、自分が数を数えたあと、次の人が数を言うときに拍手をします。全体としては、同じように数を数えるのと拍手の音とが同時に鳴ってきこえますが、個人としては、声を出すのと、拍手をするタイミングがずれている。こうなると、途端にむずかしくなります。みなさん、混乱している様子。なかなかtenまで数えることができません。むずかしくてなかなかできませんが、でも、できないからこそ楽しい。スムーズにできるようになれば、このあと足踏みもつけられるのですが、今回はここまでで、テキストに入ります。

今回の課題は、少し長めの台詞を読むことです。いくつかの作品から抜粋した数行の台詞が台本には用意してありますが、今回は、それぞれの参加者が別々のものを練習します。どの方がどの台詞を担当するかを知らされたあとは、ひたすら個人稽古です。順番に、個々に指導していきます。

今回の参加者のなかで最年長のMさんは、『間違いの喜劇』から、アンティフォラス弟の台詞に挑戦します。


ANTIPHOLUS OF SYRACUSE I to the world am like a drop of water,
That in the ocean seeks another drop,
Who, falling there to find his fellow forth
Unseen, inquisitive, confounds himself.
So I, to find a mother and a brother,
In quest of them unhappy, lose myself. (ERR, I.ii)

焦って音が飛んだり滑ったりしてしまいがちですが、焦らずに。drop of waterのofも焦らないで。falling there to find his fellow forthの頭韻も気を配ってみましょう。In quest of のtの音は、次のoの音が母音ですから、もう少ししっかり出るはずです。

「俺は、この広い世界からみれば、まるで海の中に落ちた一滴の水を探しに海に飛び込んだ、もう一滴の水のようなものだ」という生き別れた双子の一人の台詞。海に落ちた水滴のイメージが鮮烈。"confounds himself"はどういう意味でしょうか、とMさん。ここでは、海の中に溶けてごちゃごちゃに分からなくなる、という感じです。いい台詞だなあ、とMさん。最年長のMさんはいつも、ひとつひとつの言葉に意味をとても深く受け止めます。その発見が音にあらわれるように、練習あるのみです。
 

Aさんは、今回は、『夏の夜の夢』の開幕のThesusの台詞を担当。


THESEUS Now, fair Hippolyta, our nuptial hour
Draws on apace. Four happy days bring in
Another moon; but O, methinks, how slow
This old moon wanes! She lingers my desires,
Like to a step-dame, or a dowager,
Long withering out a young man's revenue. (MND, I.i)

slowの二重母音をもう少し気をつけてみましょう。longのlは、しっかりと舌につけて。リズムも意識して。日本語は4拍子だとしたら、英語は3拍子です。そのリズムに乗せるように、Long withering out a young man's revenue。

この台詞は、結婚式を間近にひかえた大公シーシアスの台詞です。大公ですから、堂々と、朗々と読みます。特にこの台詞は劇の開幕の台詞です。当時のシェイクスピアの舞台には、照明がありません。真っ昼間にやっている。照明が消えることなく、昼間の野外の舞台で芝居ははじまります。観客はざわざわしていますから、"Now fair Hippolyta"としっかりとした声で、観客の心をつかまなくてはなりません。
 

Sさんは、『お気に召すまま』のジェイクイーズの台詞に挑戦。


JAQUES     All the world's a stage,
And all the men and women merely players;
They have their exits and their entrances,
And one man in his time plays many parts,
His acts being seven ages. At first the infant,
Mewling and puking in the nurse's arms. (AYL, II.vii)

この台詞は、お隣のシーシアスのように朗々とというよりは、人生について語っているものですから、淡々と読む方がよいでしょう。all the men and women merely players...ゆっくりと。one manも焦らずゆっくり。playsのlの音を気をつけて。速く読もうと焦らないで、むしろこの台詞はゆっくりの方がいい。聞かせようという感じに。「この世は舞台、男も女もみな役者だ」。世界を劇場と考える当時の世界観・人生観があらわれている台詞です。
 

Kさんは、『ロミオとジュリエット』から、バルコニーの場のジュリエットの台詞。


JULIET What's Montague? It is nor hand nor foot,
Nor arm nor face, nor any other part
Belonging to a man. O, be some other name!
What's in a name? That which we call a rose
By any other word would smell as sweet;
So Romeo would, were he not Romeo call'd,
Retain that dear perfection which he owes
Without that title. (RJ, II.ii)


今度は、これは独り言です。ジュリエットはこれをロミオが聞いているということは知らない。向こうで練習をしているシーシアスの場合は、ヒポリタに向かって語っているものの、気分は舞台の上に立って人々の前で話している感じですから朗々と読むのでよいのですが、このジュリエットの場合は、バルコニーの上から"What's Montague!"と、聴衆に向かって演説するわけではありませんから、無理に大きく声を出そうと頑張らなくても大丈夫です。

call, smellのlの音に気をつけます。lの音は2種類あります。ひとつは、light l(明るいl)で、これは母音と[j]の前に出ます。lightのlは明るいLです。もうひとつは、dark l(暗いL)で、これは子音の後や、feelのように後に何も来ない場合に使われます。ですから、この台詞のcall やsmellは暗いlです。明るいlでは、舌先が歯の裏の少し後ろにある硬い部分(alveolar ridge)にしっかりついて、舌の前の方は上あごの方へ近づいて膨らみますが、暗いlの場合の前舌部はそれよりやや下がっています。これから舌先がalveolar ridgeに近づいていく感じにするとよいかもしれません。本来は舌先をつけた方がよいですが、つこうとするくらいでも暗いlのような音が出るので、カタカナで読もうとするならば、smallを「スメル」と言ういうよりは、どちらかと言えば、「スメオ」と言った方が近い音になります。milkも、「ミルク」と言おうとするよりは、「ミオク」と言った方が英語の音に近づきます。
 

Sさんは、『リチャード2世』から。ゴーントのジョンが死ぬ間際に言う本来あるべきイギリスのすがたと現状との違いを憂う台詞。そのイギリス賛歌の部分です。


GAUNT This royal throne of kings, this sceptred isle,
This earth of majesty, this seat of Mars,
This other Eden, demi-paradise,
This fortress built by Nature for herself
Against infection and the hand of war,
This happy breed of men, this little world,
This precious stone set in the silver sea, (R2, II.i)


kingsのkの破裂音は強く。aspirationも強く。舞台のうえでは、日常生活では使わないくらい激しくて大丈夫です。kのあとのiの音が息で飛んで遅れます。pointなども同じです。kingのiの音が時々、「イ」と日本語になるから気をつけて。どちらかと言えば、「ケング」に近いと思った方がよいかもしれない。hit, kickも同じです。sceptredがイギリス英語の書き方で読みにくそうですが、これはアメリカ英語であれば、scepteredとなるものです。Marsもイギリス英語では舌をまかないで。喉に負荷をかけているために、せっかくの声が素直に出ないことがあるので、喉に力をいれずに、リラックスして。後世にイギリスの魅力を伝えようとしている台詞ですから、ひとつひとつ、丁寧に。

老人の台詞だから感情の入れ所が分からない、とSさん。しかし当時は40代でも老人と呼ばれますし、そういうことは気にしなくて大丈夫です。感情はどちらかといえばむしろ入れずに、丁寧に読むことを心がけてみましょう。シェイクスピア劇では、役に成りきる、ということはあまり気にしなくてよいです。むしろ、oration、演説の力の方が大切です。シェイクスピアの役者は、何よりまずは、iambic pentametreが読めるかどうかが大事なのです。そこには内容はありません。気持ちの入れようもありません。観客が期待するのは、役者の気持ちよりも、彼がシェイクスピアの台詞を音にしてくれることです。役者にとっては、聞かせる音を出せるかどうかがまず第1に大切なことです。淡々とでよいのです。そして、その先の目標として、その淡々とした演戯のどこかに、ああ、この人は本当にイギリスを愛しているんだ、という感じが匂うとよい。でも、先にそれをねらってやろうとすると臭くなってしまうのでいけません。

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個々に稽古を続けたあとで、最後に、みんなの前で発表です。順番は、あみだくじで決めます。くじをあけるたびに、みなさん、緊張と不安の混ざった声をあげていました。

発表者以外の人たちは観客になります。椅子を一方向きに置いて、舞台空間をつくります。発表の順番に、参加者の方々は前へ出て、台詞を読みます。一番はじめは、ゴーント。次は、ジュリエット。シーシアス、ジェイクイーズ、そしてアンティフォラス・・・。発表となると、練習のときとは違って、教室全体に緊張感が走ります。台詞がはじまる前の一瞬の沈黙。役者の台詞がすすみ、観客も一緒になって今ここに響く台詞をすすんでゆく。そして、終わりが訪れたときの安堵。拍手。



全員の発表のあとで、「ダメ出し」です。ひとりひとりの発表に見られた課題を指摘していきます。

ゴーントは、thの音がzの音になってしまいました。それから、リズムに注意。iambic をもう少し意識して稽古してみるとよいでしょう。5回繰り返されるはずの弱強ですが、実際の役者は4回拍を置いていることも多いです。

ジュリエットもリズムに気をつけて。So Romeo would がRomeo wooed になってしまった。伸びなくてよいところで、伸びてしまったりしています。全部の行を同じ時間で読むとする場合、役者は、そのなかのどこを速く読んで、どこをゆっくりにするかを考えて練習する必要があります。たとえば、What's のあとで少し間をおいて、Montague?と言ってみたり。すると、そこで時間がマイナスされた分、It is nor hand nor footは速く読む。そこにリズムが生まれます。速いところ、遅いところ、など、役者は自分の台詞を考えて自分自身で演出することが必要です。そうすると、台詞に輝きが出ます。そのためには、まずは単語の発音も間違えずに。wouldはwooedではいけません。

シーシアスは、途中で読み間違えて、もう一度読み直してしまいました。読み間違えたら、決して二度読みをしてはいけません。間違った、と声に出してもいけない。顔にも出さない。間違いは仕方がないとして、それをあらわしてはいけない。そうすると、ぐっと変わってきます。でも、それ以外は、よくできていました。堂々として、シェイクスピア役者になっていました。

ジェイクイーズは、もっと止める部分をつくるとよかった。人生について語っているわけだから、もっと、沈思黙考という感じで。間をとると、聴衆は耳を傾けるものです。何も喋らないうちに間をとるというより、たとえば、All the world's で間をとって、a stageとか。そうすると、a stageの声が小さくても、観客は耳をひそめて、次の台詞を聞いてくれます。「止め」は「決め」であり、「極めつけ」の「極め」でもあります。歌舞伎もそうですし、大統領の演説などでも、そういう止めを上手に使っています。オバマ大統領も演説がうまいと言われていますが、articulationがよく、聞かせどころを知っています。

アンティフォラスは、気持ちを入れすぎました。気持ちは観念です。ペンキのように悲しい色でベタッと塗ると、それ一色になってしまう。感情は観客が抱くものであり、役者が抱くものではありません。役者は音をあらわせばよい。観客を感動させるために、しっかりと台詞を読んであげる。台詞に向かう際のちょっとした気持ちの入れ方の違いだと思います。この人は孤独だから、とか考えずに、感情から距離を置くといい台詞になります。シェイクスピアで何が一番大事か。それは音の骨格です。それがしっかりしていると、観客は感情を抱く。まずは音を並べること。音の建築をつくること。クラッシックの音楽のように。時にそこにポップスも入ってきますが、そこがまたシェイクスピアのおもしろいところです。


次回は、いよいよ最終回の発表に向けて、ハムレットの長台詞の練習に入ります。

by 薫

シェイクスピア朗読ワークショップ第3回

まずは、準備体操から。前回もやった「揃い踏み」を行いました。リズムにあわせて、足踏みをし、途中に様々なステップを入れます。宮澤賢治の詩から引用した詩「 8 γ e 6 α」を英語読みにしてかけ声に。「あ、左足だった」、「逆だ」と、みなさん色々な種類のステップに混乱ぎみ。でも徐々に速いスピードにもついていけるようになります。からだもだいぶ暖まってきて、声も自然と出るようになったら、台詞を読み始めました。


今回の課題は、2行詩と対話です。
まずは、いくつかの作品から引用した2行の台詞を練習しました。前回行ったiambic のリズムに注意しながら、こまかな発音の練習を行っていきます。『ヴェローナの二紳士』の台詞から。


   At first I did adore a twinkling star,
   But now I worship a celestial Sun. (TGV)
   

"twinkling"は、音がtwinkleするように。klの間に母音が入ってしまう方が見られましたが、母音は入れないように注意します。lの舌が離れる音も練習します。第1回のときに練習したgently は、tとlのpoint of articulation(調音点)が同じで難しかったのですが、このklは調音点が移動するので少し楽に出せます。2行目に入って、今度はworshipのwの音を出す練習もします。慌てないで、まずはwの音をしっかりと出すつもりで。
 日常会話なら曖昧に読み流しても通じるのですが、シェイクスピアの台詞を読むときには、普段何気なく発音している音も意識してしっかりと出さなければなりません。舞台には舞台の喋り方があります。英語が喋れるイギリス人だからといって、誰もが舞台のしゃべり方ができるというわけではありません。


次の台詞にも"world"が出てきます。このworld のwのあとの母音も英語の独特な音です。


   I hold the world but as the world, Gratiano,
   A stage where every man must play a part.(MV)


ヴェニスの商人』から、「この世は舞台、人はみな役者」というシェイクスピアの世界観のあらわれている台詞です。2行目はplay a partのpのalliteration(頭韻)を意識して読んでみました。


次は、tの音が大切な台詞です。


   O time, thou must untangle this, not I,
   It is too hard a knot for me t'untie.(TWN)


十二夜』で男装したヴァイオラが、完璧な三角関係の恋のただ中にいることを知り、この結び目はかたくて自分には解けないから、神様、あなたがほどいてよ、という台詞。"O time"の"time"は、時の神様に語りかけています。"What time is it?"と日常会話で使うときとは違い、強く読みます。この台詞はuntangle, not I, It is, too, t'untie, とtの音がたくさん出てきます。どのtを強く読むか、注意して読んでみます。t'untieはto untieの省略形。

ここでthou に関して質問がありました。thou は二人称単数形です。youはもともと二人称複数形だったものを単数として借用したものであるため、たくさんいる人から代表してあなた、という感じで距離があります。それに対して、thouは距離が近く親しみがこもった感じです。召使にも使いますが、神様も距離の近いものとしてthou で呼びかけている。thou とyouの違いは、たとえば『じゃじゃ馬ならし』を見てみると、カタリーナは最初はペトルーキオに対してyouを使って距離を取っているのに、やがてthouを使っています。ペトルーキオが彼女のその言葉をじっと待っていたように、観客も、それを聴いて、お、ついに二人もこの距離に来たか、と感じます。あらあ、いいわね、とAさんとSさん。


   We came into the world like brother and brother;
   And now let's go hand in hand, not one before another. (ERR)


この台詞では、hの音を練習しました。hは強く読もうとすると、くらくらするくらい息を使います。brother and bother, hand in handを強く読んだなら、最後のone before anotherは弱く読むなどの工夫をしてみます。基本的にシェイクスピアの台詞の特徴はこうしたごつごつした感じですが、力んですべてを強く読もうとすると野暮ったくなってしまうかもしれません。この台詞は『間違いの喜劇』最後の台詞ですから、少し劇場全体に呼びかける感じで。Happy endlingの歓喜の声です。


次は『夏の夜の夢』の台詞。


   The iron tongue of midnight hath told twelve.
   Lovers, to bed, 'tis almost fairy time.(MND)


この台詞も、tの音が大切です。そして2行目のfairy timeの読み方を工夫してみます。このfairy timeは少し意味深に。ここには、自分を含めた3組の恋人たちの初夜がはじまる時間という意味と、その恋人たちを実際にアテネの妖精たちが見守る時間という二重の意味が含まれています。大公シーシアスの台詞ですから、人々の前で公に話す感じで堂々と話しはじめてよいですが、ふっとfairy timeで内面的な響きを出す。そうしたさり気ない変化が生まれるのが、シェイクスピアの台詞のおもしろいところです。スピードもだんだん遅くして。


2行詩の最後は、ハムレットと母ガートルードの対話です。


   Ger: Hamlet, thou hast thy father much offended.
   Ham: Mother, you have my father much offended.(HAM)


この二人の台詞はとても似ています。ハムレットは母と同じように話すことで、母の揚げ足を取っているためです。母は親しみをこめてthouと呼びかけますが、ハムレットはyouと距離をとっています。thy father とは、彼女が再婚したハムレットの叔父のこと。ハムレットはその叔父が亡き父を殺した犯人と知っていて、my fatherと亡き王について言及する。thyとmyはrhymeになっています。相手の言葉を全く同じように使って皮肉を言っています。これは対話ですから、台詞と台詞のあいだの間も大事になってきます。初めに話すガートルードはこれからハムレットがこんな風に皮肉を言い出すとは知らないので落ち着いて話し始めてよいですが、ハムレットの方は、母の言葉が終わらないうちに、少し重ねるくらいの勢いで話し始めてみます。
 これはペアになって練習をしました。自分が間違えてしまうと対話は成立しません。途端に稽古場には、緊張感や、それが壊れたときの笑い声がはじけたように広がります。


今までは、一行でiambicのリズムをつくっているものを練習してきましたが、今度はそのリズムを二人で分けてつくるものを練習しました。韻文の割台詞(Shared verse)の練習です。まずは『ジョン王』の台詞から。


   King John          Death.
   Hubert   My lord?
   King John      A grave.
   Hubert            He shall not live.
   King John                    Enough. (JN, III.iii)

二人でリズムをつくっているため、台詞と台詞のあいだに長く間をあけないようにします。もっと早く、間をあけないで、と指導されて、みなさん真剣に早く読む練習に取り組みます。短い台詞なのに、ふたりでリズムを滑らかにつくるのはなかなか難しい。なかなか上手くいかず、失敗して、思わず笑い出してしまうペアもあります。スピードがあがるにつれて、ペア毎の稽古も加熱していきます。二人の息が合って読み終われば、こんなに短い台詞でも、劇になります。


次は、『マクベス』から割台詞の練習。


   Lady Macbeth   Did not you speak?
   Macbeth                   When?
   Lady Macbeth                    Now.
   Macbeth                           As I descended? (MAC, II.ii)
                     


これも台詞と台詞の間をあけ過ぎないように、ペアになって早く読む練習をします。素早く一行を読み切るふたりの台詞に、自分たちが王を殺したことが誰にも知られないように済ませようとするマクベス夫婦の緊張感、緊迫感が生まれます。


さて、今度はいよいよ、少し長めの対話に挑戦します。『夏の夜の夢』のハーミアとヘレナの対話です。


   Helena  O, teach me how you look, and with what art
         You sway the motion of Demetrius' heart.
   Hermia  I frown upon him, yet he loves me still.
   Helena  O that your frowns would teach my smiles such skill!
   Hermia  I give him curses, yet he gives me love.
   Helena  O that my prayers could such affection move!
   Hermia  The more I hate, the more he follows me.
   Helena  The more I love, the more he hateth me.
   Hermia  His folly, Helena, is no fault of mine.
   Helena  None, but your beauty: would that fault were mine! (MND,I.i)
            

すべて最後に韻を踏んでいることも意識して。loveとmoveも当時の読み方では韻を踏んでいました。前の台詞が終わらないうちに、少し重ねて、たたみかけるように読む練習をしました。もてもてのハーミアと、振られっぱなしのヘレナ、そんなふたりの息の合った掛け合いが楽しい。一通り練習したら、今度は役割を交換してまた練習します。慌てて台詞を流さないように。beautyもしっかりと。あなたの美しさのせいよ!女性同士のペア、自ずと熱がこもります。声もよく出ていて、ペアでの稽古は活気にあふれています。失敗したときの笑い声も相変わらず聞こえてきます。

舞台では、2人、3人、あるいは劇団全体で、間やリズムをつくっていきます。一人が間違えれば、劇は崩れてしまいます。だから最初は、間違えない、という一見ネガティブな方法からはじめてみましょう。舞台の上で、基本的に役者は台詞を間違えません。一方で、すでに完成された映画の役者は、間違えることはありません。でも、舞台の役者は常に間違えるかもしれない。間違えることが可能なのです。その間違える可能性を背負っているということが、役者も舞台も今ここにあり、観客も一緒にここに生きているというliveの感覚をつくります。舞台はそういう時間です。

ヘレナとハーミアの対話は一見それほど長くはありませんが、これを完璧に間違わずに二人で読み終えるのはかなり至難の業です。だから、間違わないように読み切る、という一見否定的な努力が、実は舞台特有のforceを生み出すことにつながります。そのためには、稽古が必要です。演劇の稽古には、時間も労力もかかります。しかしその苦労を楽しむようになったとき、劇は喜びになります。


   To play needs much work. But when we experience the work as play, then it is not work any more.
   A play is play. (Peter Brook)


 次回は、より長い台詞に挑戦します。

by 薫

シェイクスピア朗読ワークショップ第2回


準備運動のあと、なんば歩きと揃い踏みで、リズムにのせてからだを動かし、声とからだと脳のトレーニング。それから、台詞を読む役者にとって大切な息づくり。腹ばいになって、腹式呼吸や長息を行いました。

そして今日は、blank verse(無韻詩)の読み方の練習です。前回も少しやったiambic pentameter(弱強五歩格)を感じながら、『ヴェローナの二紳士』『十二夜』『ロミオとジュリエット』などの様々な作品の一行の台詞を読んでいきました。簡単なものから、やや難しいものへ。If music be the food of love, play on. (TWN)は、弱強の音がきれいに並んでいて、読めばそのまま誰もがシェイクスピア役者になれます。

発音の練習も同時に行っていきます。But soft, what light through yonder window breaks? (RJ)

"y" の半母音が日本人には発音しにくい。みなさん苦戦しています。しばしの練習。"Happy new ear!" 「新しい耳、おめでとう!」とならないように。"yonder"で絞り出すようなyの音に、窓辺へと向かうロミオの恋心をこめて・・・。

一行詩後半は、弱強のリズムにシンコペーションがおこって、少し難しくなります。In sooth I know not why I am so sad. (MV) "s"のalliteration(頭韻)も意識します。

Love sought is good, but given unsought is better. (TWN) 今までは最後が強く終わっていましたが、この"better"は強く終わりません。弱い音が残ります。feminine ending(女性終止)。

There would have been a time for such a word.(MAC) 夫人の死を知らされたあとのマクベスの台詞。難関です。timeまでを素早く読みます。

一行詩の練習のあとは、さらにリズムをくずした朗読、ラップに挑戦。チェーホフの『三人姉妹』の終幕の台詞を少し練習しました。"Oh, listen to that music! They are leaving us..."これはむずかしい、とAさん。でもみなさん、生き生きと読んでいらっしゃいます。リズムにのって、楽しそう。

最後は、今回の最後の回の発表に向けての課題である長台詞の読み方の確認をしました。『ハムレット』の有名な3幕1場の独白。To be, or not to be, that is the question. "is the"の発音がむずかしい。zからthへ、音がとまらないように繋げるのにみなさん苦労していました。ハムレットの5行が次回までの課題です。

次回は対話に挑戦します。

by 薫